TwitterなどのSNSでたびたび話題になるのが、イラストの無断転載。
- イラストが見知らぬSNSアカウントのアイコン、ヘッダーなどに利用されている
- イラストが見知らぬSNSアカウントに、アカウント主の作品として転載されている
- イラストが無断でグッズに利用され、販売されている
- イラストがフリー壁紙ダウンロードアプリなどに転載されている
- イラストがまとめサイトなどに無断転載されている
自分のイラストが知らない場所で、意図しない方法で利用されているなんて、創作者からすればとても怖いことです。
では、このようなトラブルを防ぐためにはどのように対処すればよいでしょうか。SNSを運用する上でできる対策と、個人サイトでできる対策とに分けて紹介します。
そもそもイラストの無断転載はなぜ起こるのか
無断転載は、それがいけないことだと知っていながら行われる場合もありますが、いけないことをしているという自覚なく行われるケースもかなり多いようです。
- 素敵なイラストだから、みんなに見てほしかった
- 素敵なイラストだから、グッズにしたかった
- 素敵なイラストだから、自分の作品として発表したかった
- 加筆をすれば自作イラストということになると思った
- 無断転載がいけないことだと知らなかった(作者に喜んでもらえると思った)
信じられないようなことですが、このような考えを持つ人は少なからず存在します。そして、このような人たちが必ずしも「きちんと話をすれば理解してくれる(転載をやめてくれる)」とも限りません。
理不尽な話ではありますが、このような転載の被害を防ぐためには創作者側の工夫が重要です。
イラストはどこから盗まれる?
実際に集計したわけではありませんが、イラストは「SNS」や「検索エンジンの画像検索」から盗まれることが多いはずです。
今はSNSの普及や画像検索の登場により、創作活動に縁のない人(つまり、創作物の著作権などにそれほど詳しくない人)でも、好きなマンガやアニメの関連語句を検索するだけで、カンタンに二次創作イラストにたどり着くことができるようになりました。
多くの人の目に触れやすいということは、作品を発表する上ではメリットであると同時に、「他人の作品」の扱いについて知識の浅い人や、悪意を持った人の目にも触れやすいというデメリットでもあるのです。
ネットに掲載する以上、転載を100%防ぐことはできません
残念な話ですが、ネットで作品を発表する以上、どれだけ対策しても転載被害のリスクは消えません。
作品発表用の個人サイトを運営する人の間では、「プログラムを利用して、ブラウザ上でのマウスの右クリック(つまり、画像のダウンロードの操作)を禁止する」などの対策が行われることもありますが、このような技術的な対策も、知識さえあれば突破することができます。
ですがそれでも、何もしないよりは、何か対策をした方が被害のリスクは確実に減ります。
以下に「SNSでできる対策」と「個人サイトでできる対策」に分けて紹介します。ご自分の作品を守るため、できそうなものから取り入れてみてください!
SNS運用でできる対策
SNSにイラストを掲載するときに、ちょっと一工夫加えてみましょう。
サインを入れる
最もカンタンにできるので、多くの絵師さんが取り入れている方法です。自分のペンネームや、SNSのアカウントIDなどを、イラストの目立つところに添えて書き入れます。
キャラクターのイラストであれば顔の付近などに入れることが多いです。重要なのは、サインの背景ができるだけ複雑になる場所に書き入れること。例えば、単色塗りの上にサインを書き入れたのでは、多少ペイントソフトを扱える人であればカンタンにサインを消してしまうことができます。
また、見栄えに影響するからといってイラストの端のほうにサインを入れることも、トリミングでカットされる可能性がありますのでオススメできません。
せっかく手間をかけて描いたイラストにサインを入れることには抵抗があるかもしれませんが、手軽にできて効果も期待できる方法です。
透かし(ウォーターマーク)を入れる
透かし(ウォーターマーク)とは、次のようなものです。
フリーの写真素材のサンプルなどでよく見かけますね。画像の全体に薄いグレーの文字が重ねられています。
サインを一か所に入れる方法に比べて、こちらはイラストの全体に対策を施すことができます。キャラクターイラストはもちろん、風景画やパターンイラストなど、絵の全体に見どころがあるようなものにも利用できます。
文字の薄さを調整すれば作品の見栄えにも影響せず対策をすることができますが、あまりにも透かし(ウォーターマーク)が薄すぎると、人によっては気付かないことがあり、透かし(ウォーターマーク)が入ったまま利用されてしまう場合もあるので、ご注意ください。
イラストの画質・解像度を低くして掲載する
SNSに掲載する絵はイラストの画質や解像度をグッと下げる、というのも有効な手です。
細部までこだわって描き込んだものだと、ついつい解像度を大きくして掲載したくなってしまいますが、画質のキレイなイラストは、特に印刷物などに利用されやすいです。
具体的な数字はイラストにもよりますが、72dpi以下、1000px平方以下程度がよいでしょう。
多くの人の目に触れる場所には画質と解像度を落としたものだけ展示して、高画質版は検索避けをした個人サイトに置くようにすることがオススメです。
プロフィールに「イラストを無断利用した場合は法的措置を取ります」など書く
防止というよりは、万が一転載が起きてしまったときに、こちらに有利に話を進めるための意味合いが強いです。
プロフィールに「無断転載禁止」と書いている人は多いですが、そもそも「無断転載」という言葉が何を示しているか、無断転載をするとどうなるのか分からない人もいます。そこで、「このアカウントに投稿されたイラストを無断で利用した場合は、法的な措置を取ります」など、何をするとどんなことが起こるのか、具体的に分かるような文章を添えておくのです。
転載をする人の中にはプロフィール文章を読まない人もいます(むしろ、読まない人の方が多いかもしれません)が、そのような場合でもこのような文章がプロフィールにあれば、相手と話をするときに向こうが素直に話を聞いてくれる可能性は格段に高くなるでしょう。
そもそもSNSにイラストを載せない
いっそのこと、SNSのサーバー上にイラストを一切アップしない、という手もあります。
SNSではいわゆる検索避けができないので、Googleの検索結果にも自分のイラストが出てきてしまう可能性があります。であれば、SNSのサーバーに自分の絵を載せないようにしてしまうのです。
それでもSNSで自分の作品を宣伝したい! という方には、個人サイトに自分の作品を掲載し、Twitterカード(OGP画像)を設定して、Twitterで個人サイトのページを宣伝する、という方法もあります。
こうすれば、自作イラストをサムネイルで見せつつ、Twitterサーバー上への自分のイラストのアップロードを防止することができます。
個人サイトでできる対策
では、個人サイトに作品を掲載している場合はどのような対策が取れるのでしょうか。
検索避けをして、Googleなどの画像検索に引っかからないようにする
イラストの無断転載の一部は、「画像検索」の検索結果から起こる可能性があるとお伝えしました。
Googleなどの検索エンジンは、ロボットを使ってネット上に公開されているページを自動でクロール(徘徊)し、情報を拾っています。
実はこのロボット、ページ上に公開されている画像も自動で収集しているのです。このようにして拾ってきた画像が、画像検索の結果ページに掲載されます。
では、検索避けを実施するにはどのようにすればよいでしょうか。
ページ検索・画像検索のどちらの検索結果にも表示されないようにしたい場合
以下のタグを、検索避けをしたい全てのページの<head>~</head>内に追加してください。
<meta name="robots" content="noindex,noarchive,nofollow,noimageindex">
画像検索結果だけ避けて、ページ検索結果には掲載してほしい場合
検索エンジンからの訪問者のアクセスは欲しいけれど、画像の無断転載や画像検索結果への掲載は避けたい、という場合に効果が期待できます。
こちらのタグも、検索避けをしたい全てのページの<head>~</head>内に記述します。
<meta name="robots" content="noimageindex">
検索避けについてもっと詳しいことを知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
適切な対策を取って、安心な創作活動を
SNSへの作品掲載の際の一工夫や、個人サイトの検索避けを施すことで、無断転載のリスクは低くすることができます。安心して創作活動をするためにも、ぜひここで紹介した対策を検討してみてくださいね。