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創作物を本にしよう!同人誌印刷所の特徴と選び方

創作物を本にしよう!同人誌印刷所の特徴と選び方

創作物を本にしよう!同人誌印刷所の特徴と選び方 - https://do.gt-gt.org/how-to-choose-print-shop/

「今まで、オンライン活動だけしてきたけれど、自分用のために保存用として同人誌にまとめたい!」「同人誌即売会に出てみたいし、どうせならちゃんと印刷所に印刷を頼んでみたい!」など、オンライン活動を超えて、同人印刷所を活用してみたい時が来るかもしれません。

そんな時に、同人印刷所を選ぶときに注目したいポイントをまとめてみました。(2024年12月現在時点)

一般的な印刷所と同人印刷所の違い

印刷所には大きく2種類があります。

  • 一般企業などが利用することが前提の印刷所
  • 同人誌即売会などで頒布する同人誌・同人グッズを印刷することを前提とした印刷所

両者にどんな違いがあるかといえば、後述する「最低部数」や「価格」も関係しますが、何より「同人活動に特化しているかどうか」が一番にあります。

どういうことかというと、同人誌即売会では会場で描写(特に、性的な表現への修正)への指摘がある可能性があります。修正が会場で余儀なくされることもあります。

そういったことを事前に防ぐために、同人印刷所として仕事をしている印刷所に印刷を依頼する方が、オススメです。事前に同人印刷所がデータを確認する際にフィードバックをもらえて、印刷する前に表現の修正ができる可能性があがります。

たとえば、同人印刷所の「ねこのしっぽ」では、「同人誌即売会での頒布物における性表現について」といった特設ページを設けています。

ほかにも、二次創作同人誌・同人グッズの場合は、原作に似すぎることなどによって「海賊版」と認識されかねない可能性があります。特にグッズは、公式のロゴや名前を入れないなど「海賊版」とみなされにくいためのノウハウがあるので、同人印刷所で確認をとりながら印刷をお願いすると良いでしょう。

もちろん、一般企業向けも同人向けもどちらも取り扱いのある印刷所もあります。たとえば、日光企画は、トップ画面で「同人誌印刷入口」「一般法人・学校関係入口」の2種類が表示されます。

日光企画トップページ

印刷の種類(オンデマンド印刷・オフセット印刷)

印刷は、大別して「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の2種類があります。オンデマンド印刷は少部数に向いていて、オフセット印刷は大量印刷に向いています。

オンデマンド印刷よりオフセット印刷の方が印刷がきれいと言われることが多いですが、最近は同人印刷所に導入している印刷所のクオリティ次第なので、オンデマンド印刷でも遜色ない場合が多いです

印刷所グラフィックの「オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いは?向き不向きと使い分け」などに詳細に説明がありますが、今回は「最初に同人印刷所を使ってみる」という想定のため、「オンデマンド印刷」の同人印刷所を中心に紹介いたします。筆者の同人活動の経験や、同人仲間の口コミを参考に、オススメを選びました

受け付けてくれる原稿の種類で選ぶ(アナログ原稿・デジタル原稿)

現在、同人印刷所のほとんどが「デジタル原稿のみ」受付。アナログでしか創作をしたことがなく、自分でうまくスキャンして原稿用のデータにできる自信がない! という方には、アナログ原稿を受付している印刷所をおすすめします。

ねこのしっぽ

ねこのしっぽ

時間はかかりますが、手描き原稿を送ればスキャンしてデジタル化してくれます。「◎ 紙原稿(アナログ)の描き方 ◎」のページでは、ねこのしっぽにアナログ原稿を送る際の、原稿の規定が記載されています。

ねこのしっぽ

ホープツーワン

ホープツーワン

アナログ入稿大歓迎」とのことで、デジタル原稿とアナログ原稿混合でも追加料金がかかりません。アナログ原稿取り扱い印刷所でも、原稿混合だと追加料金が発生する会社がほとんどなので、非常に頼もしい存在です。後述する「早割」のバリエーションが豊富です。

ホープツーワン

初心者むけかどうかで選ぶ

印刷所に商品を発注する機会はなかなかないもの。年賀状の文化も衰退し、自宅にプリンターもないご家庭も多いでしょう。印刷ってどうやって原稿をつくればいいんだろう? と悩む方は途方に暮れてしまうかもしれません。

同人印刷所は数多くあり、注文方法も千差万別。初心者なら、丁寧な説明をしてくれる印刷所に頼みたい! そんな方には下記の印刷所がオススメ

しまや出版

しまや出版

特にテキスト分野(小説など)の初心者向けの印刷所です。Wordデータで入稿できるほか、自分で表紙データを作成できない方向けのサービスが豊富です。既定の表紙デザインから選べる「セミオーダー表紙サービス」や、「オリジナル表紙作成サービス」 もあります

しまや出版

PICO

特にテキスト分野(小説など)の初心者向けの印刷所です。「わたしの小説セット」では、常設表紙テンプレートがあり、デザインやフォントなどを選ぶことができます。

PICO

しまうま出版

しまうま出版

スマートフォンからも入稿しやすい印刷所です。もともとフォトブックを作成している会社さんですが、最近はクリエイター向けのサービスも始められています。1部から作れることと、 入稿データをしまうま出版WEBサイト上のシステムで作れる(原稿データ作成の知識が不要)ことが特徴です。(同人印刷所ではないですが、初心者向けのため紹介しました)

しまうま出版

1部から注文できる印刷所を選ぶ

同人誌でも同人グッズでも、一回の注文でどれだけの数から発注を受付してくれるか、が印刷所によって違います。オフセット印刷の場合は、最低ロット数が50部以上であることが多いです。オンデマンド印刷の場合は、同人印刷所によります。

ここでは、同人誌を「1部」からでも印刷できる、同人印刷所をご紹介します

ポプルス

締め切りがタイトでなければ、比較的面倒見が良い印刷所です。同人誌印刷の場合は、オプションが多いとは言えないですが、逆に言うと「あれこれ悩まなくて済む」といえるかもしれません。

「期間限定フェア」では、変わった加工がお安くできます。比較的印刷代がお安い印刷所でもあります。同人印刷所の「ねこのしっぽ」といっしょに同人誌即売会「TAMAコミ」を開催しています。また、「快速本」という仕様が限定されるセットだと、短納期になります。(早期受付終了の場合あり)

ポプルス

RED TRAINのワンブックス

モノクロで頼んでもカラーで頼んでも、1冊頼んでも100冊頼んでも、1冊あたりのお値段が同じ」という極めて珍しい仕様のセットです。ただ、データを印刷所に送ってから、同人誌が納品されるまで、かなり時間がかかるので、同人誌即売会など予定が確定している場合には避けた方が良いかもしれません。

RED TRAINのワンブックス

ほか、後述する、「オレンジ工房」「STAR BOOKS」も1部から注文できます

低価格の印刷所から選ぶ(20部以上の場合)

「20~50部は刷りたいけど、予算が心配……」という場合におすすめの印刷所です。

おたクラブ

最近は同人グッズのバリエーションも増えてきた同人印刷所です。同人誌の特殊紙のバリエーションも比較的多く、安い印刷費でちょっと変わった特殊紙を検討しやすいかもしれません。

最近短納期のプランをやめたので、納品日に余裕がある場合の活用がオススメです。(最低部数は10部

おたクラブのX(旧Twitter)では新しく導入する紙や印刷などを紹介していることがあります。


おたクラブ

コミックモール

最低部数が「20部」、データはPDFのみ受付。最初に使う同人印刷所としてはハードルが高いかもしれません。ただ、ある程度分厚い文庫本(カバー付き)を作る際は検討した方がいいです。カバーの巻きまでしっかりやってくれる中では、圧倒的に安いです。

データを送ってから基本一切連絡がないというのも初心者を驚かせてしまうかもしれませんが、コミックモールはいつも連絡がないままに納品されます。

コミックモール

ほか、「ポプルス」は価格が抑えめでおすすめです。

特殊な装丁ができる印刷所を選ぶ

ちょっと変わった装丁や印刷に挑戦してみたい人向けの、同人印刷所です。

オレンジ工房

オレンジ工房

季節限定のセットなど、ちょっとおしゃれで変わった装丁に挑戦したいけれど、具体的な組み合わせがわからない場合におすすめです。「1部」から注文できます。

オレンジ工房

STAR BOOKS

STARBOOKS

1冊」から注文できるうえ、かなり細かく仕様を選ぶことができます。また、「毎割」という、納期と印刷費を1日単位で設定できる、変わった割引サービスもおこなっています。

STAR BOOKS

プリントオン

プリントオン

特殊印刷や装丁など、さまざまなセットで用意されています。ただ、割高なので、早割を使って入稿することをお勧めします。

プリントオン

番外編:Akaboo新刊応援企画・協賛印刷会社(Akaboo専用投票引換券)

Akaboo(同人誌即売会企画運営企業)の「新刊応援企画」に協賛している印刷会社がいくつかあります。
条件を満たした注文をすると、Akaboo専用投票引換券をもらうことができます。Akaboo専用投票引換券は、集めるとカップリングオンリーイベントやジャンルオンリーイベントを開催してもらえるものです。
印刷会社によってもらえる条件が異なるため、注文する際に事前にご確認ください。

まとめ

  • 一般的な印刷所と、同人印刷所があり、同人活動の場合は同人印刷所を使った方がよい
  • アナログ原稿を受け付けてくれる同人印刷所は、極めて少ない
  • 印刷には大きく分けて2種類あり、初心者は「オンデマンド印刷」がおすすめ
  • 最低部数や、装丁の種類など、同人印刷所にはそれぞれ特徴がある

この記事を書いた人

詩舞澤沙衣

十年以上同人活動をしてきた、文章系オタク。趣味を仕事にしたい一心で、現在フリーランスライターとして活動中。

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